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Garmin GPS 受信機と GpsDrive

山や海外旅行などでのナビゲーションのため、携帯 GPS 受信機を買ってみる。世界最大シェアの Garmin (ガーミン) の eTrex Legend HCx。2009年11月、ハワイに行ったついでに Sports Authority で英語版が2万5千円ほど。日本では日本語版が6万円ほどで売られている。

英語版なので米国の地図しか入ってないが、フリーの地図が配布されている。 左の写真は 遠藤眞さんのサイトの日本地図を組み込んだ例。 gpsmapsearch.com に世界の地図がある。

右の写真は2004年1月に買った、当時一番安いモデルの eTrex Venture。 英語版の並行輸入で送料を合わせて2万円弱。 写真は列車の中での使用例で、Galle まで 10.4km、時速 44.7km/h で移動中と表示。 車内の場合、窓際でないと電波を受信できなかった。例えば混んでいるバスの中では使えなかった。

Linux PC との接続

eTrex Legend HCx と PC とは USB 経由でつながる。 電源を入れた時は Garmin 独自手順になっている。 HCx のように MicroSD カードを使える機種では、 Menu - Setup - Interface - USB Mass Strage でドライブとして使え、 Menu - Tracks - Setup - Data Card Setup - Log Track To Data Card でトラックをそのドライブの \yyyymmdd.gpx という XML のテキストファイルに保存できる。 GPX ファイルの例と、 GPX ファイルを Gpsdrive のトラックファイルに変換する Perl スクリプトの例

eTrex Venture と PC とは RS-232C (シリアルポート) 経由でつながる。 最近の PC にはシリアルポートがないので、USB-シリアル変換ケーブルを買ってくる。 USB CDC 対応の SUNTAC VS-60R。4,800円と高価だが将来の互換性を考えて念のため。 PL2303 チップ系だと3,000円程度。modprobe pl2303 で動くのだろう。未確認。

USB-シリアル変換ケーブル SUNTAC VS-60R は Red Hat Linux 9.0 から Fedora 10 では挿すだけで cdc-acm ドライバが動いて cu -s 4800 -l /dev/ttyACM0 のように NMEA テキストデータが流れてくることを確認。gpsd は未確認。別の USB-シリアル変換ケーブル U-232-P25 も mct_u232 ドライバで確認。

地図との連動

Linux の地図表示ソフト、Gpsdrive をインストール。 公式サイト から 2.09 をダウンロード。 RPM も rpm -U gpsdrive-2.09-1.i386.rpm で使える。 Fedora など主要ディストリビューションでも配布されているので、手作業でダウンロードしなくても yum install gpsdrive でいいかも。 2.06 の時はソースコードをダウンロード、configure、make、make install した。

座標を NMEA たれ流しで送ってくれる GPS 受信機は問題ないが、Legend HCx のように USB でしかつながらない機種では Garmin 手順しか対応していない。しかも測地系が WGS だけになった。gpsdrive では Preferences - Settings 2 で Test for GARMIN を選択する。

多くの Linux の配布にガーミン用のドライバ garmin_gps.ko が含まれるが、Fedora 10 ではバイナリが入らなくなった。ソースコードから次の手順で組み込むと /dev/ttyUSB0 が作られる。

  1. $ cd ~/rpmbuild/BUILD/kernel-2.6.27/linux-2.6.27.i686/drivers/usb/serial/
  2. Makefile に garmin_gps.o を加える。
  3. $ cd ~/rpmbuild/BUILD/kernel-2.6.27/linux-2.6.27.i686; make M=drivers/usb/class/ modules
  4. # cp garmin_gps.ko /lib/modules/2.6.27.5-117.fc10.i686/kernel/drivers/usb/serial/; depmod -a

日本地図

GPS と地図とを連動させるには緯度と経度を指定できる地図が必要。 ウェブサイトで使える日本地図には、2010年1月現在アルプス、ゼンリン、インクリメントピーのがある。 登山で使える等高線があるのはアルプスだけなので、それをヤフー経由で使わせていただく (図)。

ほかの地図データでは、市街図はゼンリンが強く、 アルプスが郊外に行くとほんの少し弱い。 インクリメントピーはゼンリンのデータを無断流用して2005年3月に賠償金を払った。 昭文社は紙の地図は強いが電子地図は弱いようだ。

下に地図サイトをまとめた。 測地系で×は URL で緯度と経度を指定できないことを示す。 市販のカーナビや一部の地図では東京測地系だけが表示されているので、 今は東京測地系のほうが便利な気がする。

サイトデータ元測地系
ヤフー アルプス東京1
マピオン アルプス東京
グーグル ゼンリン世界
インフォシーク (楽天) ゼンリン×
MapFan インクリメントピー東京
ライブドア インクリメントピー東京
MSN インクリメントピー×
いくとこガイド インクリメントピー東京2007年9月終了
イーマップ ゼンリン×
ちず丸 昭文社×
12009年12月、ヤフーは引数に datum=wgs を付けることで世界測地系の座標を指定できるようになった。 2010年7月、地図の検索結果も世界測地系になり、移行が進んでるようだ。

海外の地図

※この章の内容は古くなりました。歴史的な資料になります。 Google MapsOpenStreetMap が、北朝鮮、西サハラなど国として機能していない地域も含めて都市部なら地図を得られるようになりました。 (2017年9月加筆)

Expedia は Gpsdrive が標準で対応していて、北米、欧州、オーストラリアが見える。 それら以外は弱い。以前は Mapblast が使えたが、 マイクロソフトに買収されたからか使えなくなってしまった (2004年6月に使えないことに気付く)。

Google は先進国以外に強いが、全体に道が太いため細かい情報が失われがち。 2008年6月現在見えるのは、日本、アメリカ、カナダ、欧州、 南アフリカ、アラブ首長国、インド、タイ、香港、台湾、オーストラリア。 2005年11月には日本、アメリカ、イギリスだけだった。 それ以外も国によって主要道路はある。 世界中で衛星写真、場所により航空写真を使える。

先進国以外の正確な地形図、道路地図を入手するのは難しい。 機械処理しづらいが、紙の地図を画像取り込みしたものを入手できることがある。 ベトナム、タイ、カンボジア、ラオスの例

故障!

2005年1月、Venture の画面に縦じまや横じまが出るようになってしまった。 たたくと直るし PC には正しくデータを送れるから単なる接触不良だろうが、保証期間がぎりぎり残っていたので修理に出すことにした。 修理案内ページ に従ってフォームから製造番号などを入力すると台湾の送付先の案内が来た。最初の問い合わせから3週間くらいで新品になって返ってきた。

eTrex分解写真 2006年6月、同じ不具合が再発! しかたないので分解してみる。次の手順で修理。

  1. 周りの黒いバンドをコネクタカバーの部分から順にはがす。さらに中の透明なシールもはがす。
  2. 本体の上下2つの部分が爪で留まっているので開ける。
  3. 基盤と液晶とをつなぐフラットケーブル (写真中央の茶色の物) の根元の留め具 (写真右端の黒い物) を横から押してはずすはずだが、何もしなくてもケーブルがはずれてしまう。ここまでが写真の状態。
  4. フラットケーブルの留め具は2段階に差し込めるので、半挿しにする。
  5. ピンセットでフラットケーブルを奥まで差し込んで、留め具をピンセットで締める。小さいので爪が折れないよう注意。
  6. ケーブルを軽く引っ張って抜けないことを確認したら、逆の手順で組み立てる。
コネクタはノート PC で一般的に使われる物だが、狭い所の作業なのでちょっと大変。

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